次の個人事業主は、社会保険(厚生年金保険および健康保険)への強制的な加入義務はありません。
- 業種を問わず、常時5人未満の従業員を使用する個人の事業所
- 非適用業種で、常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所
【非適用業種】
農林業、水産業、畜産業、理容・美容業、興行業、旅館業、飲食業、接客娯楽業、法務業、宗教事業
しかしながら、加入義務はなくても一定の要件を満たした場合は任意で社会保険に加入することができます。このような事業所を「任意適用事業所」といいます。
※強制適用事業所と任意適用事業所の詳しい説明についてはこちらのページをご覧ください。

社会保険(厚生年金・健康保険)の加入義務【強制適用事業者と任意適用事業者の違い】
適用事業所とは 社会保険(厚生年金保険と健康保険)の適用を受ける事業所を適用事業者といいます。厚生年金保険と健康保険の加入要件はほぼ同じですので、原則として両方同時に加入することになります。 また、社会保険は事業所単位で適用されることになり...
なお、任意適用事業所は、厚生年金保険・健康保険のどちらか1つの制度のみ加入することもできます。つまり、老後の年金のために厚生年金保険のみ加入し、健康保険については国民健康保険に加入するという選択ができます。
任意適用事業所となるには(適用の要件)
任意適用事業所となるには、次の要件が必須です。
事業所における従業員(被保険者となるべき者)の2分の1以上の同意を得ること
従業員の手取り額が減ってしまうわけですから、雇用主の判断のみでは認可されず、従業員の半数以上の同意が必要になります。申請時に「同意書を得たことを証する書類」を添付しなければなりません。
同意書については、日本年金機構のサイトにテンプレートが用意されています。
健康保険厚生年金保険任意適用申請同意書の例 (日本年金機構HP)
同意書には、次の事項を記入します。
- 事業所の名称
- 事業所の所在地
- 使用される者の数(被保険者となるべき者)
- 使用される者の数のうち同意する者の数
- 同意する従業員の氏名・生年月日・住所・押印(従業員本人が署名する場合は、押印の必要はありません。)
※当然ながら「使用される者の数のうち同意する者の数」が「使用される者の数」の2分の1以上でなければなりません。
適用事業所となった場合は、不同意であった従業員も含めて70歳未満の従業員は、すべて被保険者となり社会保険の適用を受けることになります。(適用除外の規定に該当する従業員は被保険者となりません。)
手続き
上記の要件を満たした事業者は、従業員の2分の1の同意後すみやかに以下の書類を年金事務所へ提出します。
- 健康保険厚年金保険任意適用申請書(日本年金機構HPへ)
- 任意適用同意書(従業員の2分の1以上の同意を得たことを証する書類)
- 事業主世帯全員の住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの・提出日から遡って90日以内に発行されたもの)
- 以下の5種類の公租公課の領収証(原則1年分)
所得税・事業税・市町村民税・国民年金保険料・国民健康保険料
厚生労働大臣の認可があった日にその事業所は適用事業所となります。
なお、一度、任意適用事業所となった場合でも、一定の条件を満たしたときは厚生労働大臣の認可を得て社会保険の加入をやめることができます。詳しくは以下のページをご覧ください。

厚生年金・健康保険の任意適用事業所をやめたいとき
社会保険(厚生年金保険および健康保険)に任意で加入していた任意適用事業所は、一定の要件を満たす場合に厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所を脱退することができます。 なお、任意適用事業所は、厚生年金保険または健康保険のどちらか一方の適用取消の...