アルバイトやパートタイマーなどの短時間労働者が社会保険に加入することとなる条件の一つに「1月当たりの報酬が88,000円以上であること」が定められています。
この「報酬」とはどのような賃金をいい、またどのような賃金が「報酬」から除かれるのでしょうか?
88,000円に算入しない賃金
短時間労働者の被保険者資格取得条件である「報酬88,000円以上」を算定する月額賃金の対象は、基本給及び諸手当で判断します。
ただし、厚生年金保険法第12条第1項第5号と健康保険法第3条第1項第9号において、この報酬からは「最低賃金法に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。」とされています。
具体的には、次のような賃金が除かれることになります。
【88,000円に含めない賃金】
- 臨時に支払われる賃金(祝金・見舞金など)
- 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与・ボーナスなど)
- 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
- 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
- 深夜労働(午後10時から午前5時まで/一定の地域又は期間については午後11時から午前6時まで)に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
- 最低賃金において算入しないことを定める賃金(精通勤手当、家族手当、皆勤手当など)
賞与、残業代などの時間外手当、交通費などの通勤手当については報酬に含めずに88,000円以上であるか否かを判断します。
月額賃金のほかに年収が106万円以上であるかどうかも条件に入る?
年収106万円以上というのは88,000円の12ヶ月分の金額(88,000×12ヶ月=1,056,000円→約106万円)のことであって、あくまで参考の値であり、法律上106万円という数字が出てくることはありません。報酬については、年収で判断することはなく月額の賃金が88,000円以上であるか否かのみで判定します。
短時間労働者が被保険者となる場合には手当も含める
なお、短時間労働者が社会保険の加入条件を満たし厚生年金・健康保険の被保険者となる場合に、保険料の額を計算するための「標準報酬月額」を算定するときには、「月額賃金88,000円以上」の判定の際に算入しなかった次の手当等も含めて算出しなければなりません。
- 役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当など