アルバイトやパートタイマーなど、正社員に比べて労働日数・労働時間が少ない短時間労働者の年次有給休暇については、その所定労働日数に比例した日数の年次有給休暇を付与することとされています。(労働基準法第39条第3項)
付与される日数
アルバイトやパートタイマーなどの短時間労働者の有給休暇付与日数は、次の表のとおりです。
所定労働日数 | 勤続年数 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
週 | 年間 | 6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月 |
通常の労働者 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 | |
4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
所定労働日数が少ない労働者は、通常の労働者に比べて付与される日数が少なくなります。これを「比例付与」といいますが、「比例付与」の対象となる労働者は次の条件に該当する方が対象です。
① 1週間の所定労働日数が4日以下の労働者
② 1年間の所定労働日数が216日以下の労働者
アルバイトやパートタイマーでもこの要件に当てはまらなければ、比例付与の対象者とはならず、通常の労働者と同じ年次有給休暇日数が付与されます。
具体的には、週4日以下でも1週間の所定労働時間が30時間以上あったり、1日の所定労働時間が短時間でも週5日勤務していれば、通常の労働者と同じ日数が付与されます。
【例1】
1週間の所定労働日数:4日、1日の所定労働時間:8時間の労働者の年次有給休暇の付与は?
1週間あたりの所定労働時間は4日×8時間=32時間であり、週30時間以上の労働時間となるので、比例付与の対象とはなりません。
【例2】
1週間の所定労働日数:5日、1日の所定労働時間:4時間の労働者の年次有給休暇の付与は?
1週間の所定労働時間は、5日×4時間=20時間で、1週間の所定労働時間は30時間未満ですが、1週間の所定労働日数が4日以下ではないため、比例付与の対象とはなりません。
所定労働日数の変更・正社員登用があった場合
アルバイトやパートタイマー労働者の所定労働日数が変更された場合、あるいはパートから正社員登用された場合など、有給休暇はどのように付与されるのでしょうか。
雇用契約における所定労働日数が変更された場合
例えば、週3日勤務のパート労働者が週4日に変更されたときなどは、その労働者の年次有給休暇の付与の基準日(年次有給休暇の権利が発生した日)における雇用契約の所定労働日数により決定されることになります。
【具体例】
××1年8月1日入社 週所定労働日数3日のパート労働者が、××2年4月1日に週所定労働日数を4日に変更した場合
基準日:2月1日
・××2年2月1日(週所定労働日数3日・継続勤務6ヶ月)・・・付与日数5日
・××3年2月1日(週所定労働日数4日・継続勤務1年6ヶ月)・・・付与日数8日
以降、週所定労働日数は4日として有給休暇を付与します。
通常の労働者(正社員)になったとき
アルバイトやパートタイマーが正社員登用された場合、短時間労働者として付与された有給休暇は消滅することなく、既に付与されている有給休暇の日数がそのまま引き継がれます。また、短時間労働者として採用された日から通算した勤続年数を基に有給休暇を付与されることになります。
逆に、正社員からアルバイトやパートタイマーに変更した場合でも同様です。
【具体例】
××1年8月1日入社 週所定労働日数4日のパート労働者が、××2年4月1日に正社員登用された場合
基準日:2月1日
・××2年2月1日(週所定労働日数4日・継続勤務6ヶ月)・・・付与日数7日
・××3年2月1日(週所定労働日数5日・継続勤務1年6ヶ月)・・・付与日数11日
雇用契約を短時間労働者から正社員に変更する際に、一度形式的に退社した場合でも勤続年数は引き継がれますので、短時間労働者として採用された日から通算して年次有給休暇の付与日数を決定します。