複数の事業所で被保険者資格を取得した被保険者の社会保険料額は、どのように計算するのでしょうか。
二以上事業所勤務被保険者の社会保険料計算式
同時に二つ以上の事業所で報酬を受ける被保険者については、事業所ごとに単体で標準報酬月額や保険料額が決まるものではなく、まず、それぞれの事業所で算定した報酬月額に相当する額を合算して標準報酬月額が決定されます。そして、それぞれの事業所における保険料の額は、その被保険者の報酬月額相当額に比例して按分した額になります。
【算式】
計算方法の具体例
【例】
報酬月額:A事業所500,000円、B事業所300,000円
なお、東京(協会けんぽ)、40歳未満、全国健康保険協会管掌保険料率9.87%、厚生年金保険料率18.300%、子ども・子育て拠出金率0.34%とする。
① 報酬月額の合算額を算出します。(※各事業所の報酬月額に応じた標準報酬月額を合算するわけではありません。)
Ⓐ500,000円 + Ⓑ300,000円 = 800,000円
② 合算額を基に標準報酬月額を決定します。(保険料額表に当てはめる)
報酬月額が800,000円の場合、健康保険の標準報酬月額は790千円、厚生年金保険の標準報酬月額は620千円(最高等級)となります。
③ 標準報酬月額に該当する保険料額を、各事業所の標準報酬月額に応じて按分します。
【A事業所における社会保険料額】
健康保険料:790,000 × 9.87% × Ⓐ500,000 /(Ⓐ500,000+Ⓑ300,000)=48,733.1円
厚生年金保険料:620,000 × 18.300% × Ⓐ500,000 /(Ⓐ500,000+Ⓑ300,000)=70,912.5円
子ども・子育て拠出金:620,000 × 0.34% × Ⓐ500,000 /(Ⓐ500,000+Ⓑ300,000)=1,317.5円
健康保険料および厚生年金保険料は労使折半ですので、上記保険料額を事業所と被保険者が折半して負担します。(子ども・子育て拠出金は全額事業主負担)
事業主負担分1/2 | 被保険者負担分1/2 | |
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健康保険料 | 24,367円 | 24,366円 |
厚生年金保険料 | 35,456円 | 35,456円 |
子ども・子育て拠出金 | 1,317円 | – |
他の事業所の報酬月額が分からない場合
二以上事業所勤務届を提出すると「二以上事業所勤務被保険者標準報酬決定通知書」によってそれぞれの事業主宛てに標準報酬月額の決定が通知されます。
その通知書に被保険者の報酬月額や決定年月、保険料額のお知らせが記載されていますので、他の事業所の報酬月額が不明であっても、通常はこの通知書を基に被保険者負担分の社会保険料額を計算することになります。
二以上事業所勤務被保険者の手続きや随時改定については、下記のページをご覧ください。