- 会社勤めをしながら、副業としてアルバイトや会社経営をしている方
- 複数の会社経営をしている役員の方
- パートやアルバイトをいくつも掛け持ちしている方
など、ダブルワークや副業により、2ヶ所以上の会社(事業所)で勤務する場合の社会保険の取扱いと手続きについて説明します。
社会保険加入の条件
まず、社会保険加入義務がある事業所(強制適用事業所)または任意適用事業所において勤務する各人が、それぞれの事業所で社会保険の加入対象の条件を満たすかどうかを確認します。
- 適用事業所に使用されている(健康保険は75歳未満、厚生年金保険は70歳未満)
- 1週あたりの所定労働時間と1ヶ月あたりの所定労働日数が一般社員の3/4以上
- 上記に加え、以下のすべての条件に該当すること
- 所定労働時間(残業時間を含めない)が週20時間以上
- 月給が88,000円以上
- 雇用期間が1年以上
- 学生でない
- 社会保険の対象となる従業員規模が501人以上の事業所に勤務(従業員500人以下の事業所でも、労使で合意があれば社会保険の加入が可能)
どちらの勤務先でも満たさない場合
どちらの事業所でも社会保険の加入条件を満たさない場合は、社会保険は原則加入対象外となります。
たとえ、両方の事業所の合算で加入条件を満たしていても、各事業所で満たさない場合は社会保険に加入することはできません。
したがって、手続きの必要はありません。
1ヶ所のみで満たす場合
勤務する2ヶ所以上の事業所のうち、1ヶ所のみで社会保険の加入条件を満たす場合は、その会社のみで社会保険に加入します。
手続きや保険料等の取扱いは、1ヶ所のみの勤務の場合と同様です。
2ヶ所以上で満たす場合
勤務する2ヵ所以上の事業所がいずれも社会保険の加入条件を満たす場合、それぞれの会社で資格取得手続きを行い、届出を提出する必要があります。
その手続きは以下のようになります。
2ヶ所以上の適用事業所で社会保険加入条件を満たす場合の手続き
要件を満たした日の翌日から10日以内に、被保険者が「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・2以上事業所勤務届」を提出します。
新たに被保険者となる場合は、「被保険者資格取得届」をあわせて提出します。
すでに全国健康保険協会の被保険者である場合は、健康保険被保険者証を添付します。
届出書には、メインとなる事業所を「選択事業所」として記入し、それ以外の事業所を「非選択事業所」として記入します。
届出の結果、「選択事業所」を管轄する年金事務所または健康保険組合が保険関連業務を行い、健康保険証は「選択事業所」から発行されます。※健康保険組合を選択した場合、厚生年金保険の事務は年金事務所で行われます。
保険料の仕組み
適用事業者でのすべての報酬を合算して、合算額をもとに標準報酬月額が決定され、それぞれの報酬に応じて按分された健康保険(および介護保険)、厚生年金保険の保険料が計算されます。
届出を提出しなかった場合
2ヶ所以上の適用事業所に勤務しているにもかかわらず、保険料逃れのためや届け出を怠ったことにより1ヶ所でしか社会保険の加入手続きを行っていない場合に、年金事務所から指導を受けたときは、是正または遡及して社会保険に加入することになります。