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実質的に債権とみられないものの額「原則法」と「簡便法」

貸倒引当金の繰入限度額は、貸倒れの可能性が高い「個別評価金銭債権」と通常の貸倒れが見込まれる「一括評価金銭債権」とに区分して計算しますが、このうち一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算は、「貸倒実績率」による方法(原則)と「法定繰入率」による方法(中小法人の特例)があります。

「法定繰入率」による方法は中小法人に限られ、この場合の中小法人とは、期末資本金1億円以下の法人(期末資本金が5億円以上の大法人による完全支配関係がある法人を除く。)をいいます。

 

法定繰入率による繰入限度額の計算式

一括評価金銭債権に係る繰入限度額は、次の算式により計算します。

一括評価金銭債権 ー 実質的に債権とみられないものの額 )× 法定繰入率

 

実質的に債権とみられないものの額

実質的に債権とみられないものの額とは、同一人に対する債権・債務で相殺できるものをいいます。

一括評価金銭債権から控除する「実質的に債権とみられないものの額」の計算方法には「原則法」と「簡便法」があり、いずれか少ない方の金額を選択することができます。

原則法

債権者の債権と相殺することができる債務を取引先ごとに計算する方法です。

A社B社
売掛金等の債権の総額500,000円300,000円
買掛金等の債務の総額400,000円600,000円
実質的に債権とみられないものの額↓少ない方
400,000円300,000円

取引先ごとに債権・債務の総額を比較し、少ない方を選択して、最後に合計します。

実質的に債権とみられないものの額 400,000+300,000円=700,000円

 

簡便法(基準年度実績)

毎期、原則法により計算することは実務的に煩雑であることから、原則法に代えて簡便法で計算することができます。

基準年度実績による「実質的に債権とみられない金額」の計算は、次の算式により計算します。

実質的に債権とみられないものの額 = 一括評価金銭債権の額 × 控除割合※

※控除割合(小数点3位未満切捨)=基準年度の各事業年度末の一括評価金銭債権の合計額 / 基準年度の各事業年度の期間における原則法に計算した実質的に債権とみられないものの額の合計額

基準年度とは、平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した各事業年度をいいます。

 

【計算例】

事業年度一括評価金銭債権の額実質的に債権と
みられないものの額
平成27.4.1〜平成28.3.31300,000円155,000円
平成28.4.1〜平成29.3.31420,000円210,000円

当事業年度の一括評価金銭債権・・・350,000円

 

1)控除割合の計算

(155,000+210,000) / (300,000+420,000)=0.7019…→0.701(小数点3位未満切捨)

2)実質的に債権とみられないものの額の計算

350,000 × 0.701=245,350円