国税において、期限までに申告しなかった場合や納付期限までに税金を納めなかった場合、虚偽の申告を行った場合など、適正な申告・納税をしなかった納税者にはペナルティーが課されます。そのペナルティーが、本税に対して「附帯税」といわれます。
附帯税には、大きく分類すると「加算税」「延滞税」「利子税」があり、それぞれ課税割合などの算出方法が異なります。
さらに加算税には、「無申告加算税」「過少申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」の4種類があります。
加算税
加算税とは、税金を申告すべきにも関わらず、それを申告しなかった場合に追加で納める税金のことです。加算税は罰金の性格が強く、一律に課税割合が決まっています。加算税には以下の4種類があります。
無申告加算税
申告期限までに申告書を提出しなかった場合に課される税金です。
以下のケースに分け、納付すべき税額に次の割合を乗じて計算します。
- 申告期限後、税務署からの調査通知前に申告納税した場合
・・・5% - 調査通知後、税務調査前に申告納税した場合
・・・納付すべき税金のうち50万円までは10%、納付すべき税額が50万円を越える部分は15% - 税務調査後、税務署の更正通知により申告納税し、過去5年間で同じ税目で無申告加算税が課されたことがない場合
・・・納付すべき税金のうち50万円までは15%、納付すべき税額が50万円を越える部分は20% - 税務調査後、税務署の更正通知により申告納税し、過去5年間で同じ税目で無申告加算税が課されたことがある場合
・・・納付すべき税金のうち50万円までは25%、納付すべき税額が50万円を越える部分は30%
ただし、下記に該当する場合は、加算税は課されません。
- 無申告加算税の金額が5,000円未満
- 申告期限から1ヶ月以内に自ら申告している
- 期限後申告に関する納めるべき税金を同日に全額納付している
- 過去5年間に無申告加算税・重加算税を受けていない
過少申告加算税
過少申告加算税とは、申告期限内に提出した申告額が本来の税金よりも過少であったために修正申告や更正があった場合に、追加本税とは別に課される税金です。
以下のケースに分け、新たに納付すべき税額に次の割合を乗じて計算します。
- 税務署からの調査通知後、税務調査前に申告納税した場合
・・・5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を越える部分は10%) - 税務調査後、税務署の更正通知により申告納税した場合
・・・10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を越える部分は15%)
ただし、下記に該当する場合は、加算税は課されません。
- 過少申告加算税の金額が5,000円未満
- 税務署の調査通知前に自ら修正申告をした
不納付加算税
給与や報酬に対する源泉徴収した所得税について、源泉所得税を納付期限までに納付しなかった場合に課される税金です。
対象は源泉所得税のみであり、法人税など他の税金を期限内に納付しなかったとしても、不納付加算税は課されません。他の税目に対しては、後述の「延滞税」が課されます。
不納付加算税は以下のケースに分け、納付すべき税額に次の割合を乗じて計算します。
- 税務署から指摘を受ける前に自主納付した場合
・・・5% - 税務署から指摘を受けた後に納付した場合
・・・10%
ただし、下記に該当する場合には、不納付加算税は課されません。
- 不納付加算税の金額が5,000円未満
- 納付期限から1ヶ月以内に納付され、かつ過去1年以内において納付の遅延をしたことがない
- 納付期限から1ヶ月以内に納付され、かつ新たに源泉徴収義務者となった者の初回の納期にかかるものであること
また、源泉所得税の納付の遅延には、後述の「延滞税」も加算されます。
重加算税
重加算税とは、上記の各加算税が課税される場合で、事実の隠蔽による申告漏れや虚偽の過少申告など悪質な脱税行為と判断された場合、過少申告加算税、不納付加算税に代わって課される税金です。無申告が仮装隠蔽によるものだった場合も、無申告加算税の代わりに重加算税が課されます。
重加算税は、以下のケースに分け、新たに納付すべき税額に次の割合を乗じて計算します。
- 過少申告加算税・不納付加算税に代えて課される場合
・・・35% - 過少申告加算税・不納付加算税に代えて課され、過去5年間で同じ税目について加算税を課されたことがあるとき
・・・45% - 無申告加算税に代えて課される場合
・・・40% - 無申告加算税に代えて課され、過去5年間で同じ税目について加算税を課されたことがあるとき
・・・50%
ただし、下記に該当する場合には、加算税は課されません。
- 重加算税の金額が5,000円未満
延滞税
延滞税とは、法定納付期限までに税金を納付しなかった場合に課税される税金です。納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じて課される追加課税で、遅延損害金に相当する性格を有するペナルティです。延滞税は本税に対して課されるものであり、加算税などに対しては延滞税は課されません。
延滞税の計算は、納付すべき金額に次の年利率を乗じて納付期限の翌日から納付するまでの日数に応じて算出します。(日割り計算)
- 納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで
・・・年7.3%、特例基準割合+1%(平成30年は2.6%)のいずれか低い割合 - 納付期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後
・・・年14.6%、特例基準割合+1%(平成30年は8.9%)のいずれか低い割合
※特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。年によって税率が変わります。
ただし、下記に該当する場合には、延滞税は課されません。
- 本税が1万円未満
- 延滞税が1,000円未満
なお、地方税に対して課される税金は「延滞金」といいます。
利子税
利子税とは、正当な理由で法定期限までに税金を完納するめどが立たず、あらかじめ税務署に申請手続きをし、延納の適用を受けた場合に課される税金です。延滞税とは異なり、ペナルティの意味合いはなく、約定利息としての性格を有するものです。
割合については、税目や財産の内容によって利率が異なりますので、割愛します。
まとめ
附帯税 | |||
---|---|---|---|
加算税 | 無申告加算税 | 罰金(ペナルティ) | |
過少申告加算税 | |||
不納付加算税 | |||
重加算税 | |||
延滞税 | 遅延損害金 | ||
利子税 | 利息 |