事務所や店舗の賃貸借契約時に、賃貸人に敷金・保証金を支払った場合の会計処理について説明します。
敷金は契約内容によって処理が異なりますので、賃貸借契約書をよく見てケースごとに仕訳を切る必要があります。
契約で返還されることが確定している場合
契約時
【例】敷金500,000円を支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
敷金または差入保証金 | 500,000 | 現金預金 | 500,000 |
返還されることが明らかにされている敷金は、預け金の性格を持ちますので、敷金または差入保証金などの勘定科目で資産計上します。また、消費税は課税対象外となります。
解約時
全額返還された場合
【例】契約時支払った敷金500,000円が返金された
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金預金 | 500,000 | 敷金または差入保証金 | 500,000 |
敷金の一部が原状回復費用に充てられた場合
【例】敷金500,000円のうち物件のクリーニング費用300,000円が差し引かれて返金された
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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現金預金 | 200,000 | 敷金または差入保証金 | 500,000 |
修繕費(課税仕入れ) | 300,000 |
敷金のうちクリーニング費用などの原状回復費用にあたる部分は、修繕費とします。
契約で返還されないことが確定している場合
返還されない敷金は全額費用に計上することができますが、金額によっては期間按分する必要があります。
敷金の金額が20万円未満の場合
契約時に全額を費用計上することができます。
【例】敷金100,000円を支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
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地代家賃または支払手数料など(課税仕入れ) | 100,000 | 現金預金 | 100,000 |
敷金の金額が20万円以上の場合
20万円以上の敷金は税務上の繰延資産に該当しますので、契約時には長期前払費用として資産計上し、期末・決算時に償却期間で按分して取り崩します。
償却期間は、以下のとおり契約期間によって異なります。
- 契約期間が5年以上の場合、5年
- 契約期間が5年未満の場合、契約期間の年数