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特定受給資格者・特定理由離職者の判断基準とメリット

特定受給資格者とは、倒産解雇等により離職を余儀なくされた方をいい、特定理由離職者とは、期間の定めのある労働契約が更新されなかった離職者や、やむを得ない理由による自己都合退職者をいいます。

この特定受給資格者・特定理由離職者は、雇用保険制度における求職者給付の基本手当(一般に「失業手当・失業保険・失業給付金」と呼ばれるもの)の受給において、様々なメリットがあります。

 

特定受給資格者の範囲

Ⅰ 倒産等による離職者

  1. 倒産により離職した者
  2. 事業所において大量雇用変動(1ヶ月に30人以上の離職)の届出がされたため離職した者及び事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える被保険者が離職したため離職した者
  3. 事業所の廃止により離職した者
  4. 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

Ⅱ 解雇等による離職者

  1. 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)により離職した者
  2. 労働契約の労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
  3. 賃金(退職手当を除く)の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
  4. 次のいずれかに該当することにより離職した者
  5. 予期せず、賃金が一定より下回った又は下回ると見込まれることにより離職した者
  6. 一定の基準の時間外労働・休日労働が行われたことにより離職した者
  7. 行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において危険又は健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったことにより離職した者
  8. 妊娠・出産・養育・介護の制度を利用したこと等を理由として不利益な取扱いをしたことにより離職した者
  9. 事業主が労働者の職種転換等に際して、職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
  10. 期間の定めのある労働契約の更新によリ3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該契約が更新されないこととなったことにより離職した者
  11. 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該契約が更新されることが明示された場合において、当該契約が更新されないこととなったことにより離職した者
  12. 事業主や他の労働者から就業環境が著しく害されるような言動(嫌がらせ・セクハラ等)を受けたことによって離職した者
  13. 事業主から退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者
  14. 事業所において使用者の責めに帰すべき事由の休業が引き続き3ヶ月以上となったことにより離職した者
  15. 事業所の業務が法令に違反したことにより離職した者

 

特定理由離職者の範囲

Ⅰ 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がな
いことにより離職した者

ただし、労働者が更新を希望したにもかかわらず、合意が成立しなかった場合に限られます。

Ⅱ 正当な理由のある自己都合により離職した者

「正当な理由がある」と認められる場合は、次のような場合です。

  1. 病気やケガ、心身の障害等により離職した
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、基本手当の受給期間延長措置を受けた
  3. 父若・母の死亡・疾病・負傷等のため、父・母を扶養するために離職を余儀なくされた場合または常時本人の看護を必要とする親族の疾病・負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した
  4. 配偶者又は扶養親族と別居生活を続けることが困難となった
  5. 住所変更等により通勤が不可能又は困難となったことにより離職した(通常の方法で通勤した場合の往復所要時間がおおむね4時間以上であるとき等)
  6. 企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した

特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかの判断

特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、最終的に公共職業安定所(ハローワーク)が行います。事業主が主張する離職理由と離職者が主張する離職理由が異なる場合があるため、それぞれの事実が証明できる資料(労働契約書や賃金台帳、住民票の写しなど)を提出することが求められます。

また、離職者本人が特定受給資格者・特定理由離職者に該当すると判断したにもかかわらず、離職票には、離職理由として「労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合)」と記載されていることがありますが、このような場合でも、退職することとなった事由を証明する書類をハローワークへ提出することにより、雇用保険受給資格者証の「離職理由」が訂正されることになります。

つまり、自己都合退職でも事情が証明できれば特定受給資格者・特定理由離職者になることができます。

※病気やケガ、体調不良で誰でも特定理由離職者に該当する事例があります。詳細については、下記のページをご覧ください。

【退職する前に!】自己都合退職でも失業保険給付制限の免除や様々な優遇を受ける方法
本来、自己都合退職による失業の場合、失業等給付(失業保険)を受け取るまでには、失業の手続き後通算7日間の待期からさらにおよそ2~3ヶ月後となりますが、自己都合で退職した方でもいくつかの条件に該当すると「特定理由離職者」となり、数か月を待たず...

その他の特定受給資格者・特定理由離職者の判断基準や証明する資料については、厚生労働省のサイトをご参照ください。

 

特定受給資格者・特定理由離職者のメリット

雇用期間が短くても受給できる

通常は、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上ないと失業給付金を受給できませんが、特定受給資格者・特特定理由離職者は離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上あれば受給することができます。

3ヶ月の給付制限がなくなる

正当な理由のない自己都合による離職者や懲戒解雇により離職した場合は、手続き後通算7日間の待期に加え、その待期が経過した翌日から3ヶ月間の経過後に給付金の支給が開始されますが、特定受給資格者・特定理由離職者に該当すると、この給付制限が免除されます。つまり、手続きの後7日+3ヶ月を待たずに、手続きから7日後に支給が開始されます。

所定給付日数が増える

失業給付を受けることができる日数の上限を所定給付日数といい、一般の受給資格者と特定受給資格者で所定給付日数が異なってきます。

一般の受給資格者の所定給付日数は、90日~150日ですが、特定受給資格者に該当する場合は、最長で330日まで受給することができます。

 

一般の受給資格者・特定理由離職者

算定基礎期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日

特定受給資格者・特定理由離職者Ⅰのうち要件を満たす者

算定基礎期間 10年未満 10年以上20年未満 10年以上20年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

なお、離職日が平成21年3月31日から令和4年3月31日までの就職困難者に該当しない特定理由離職者Ⅰは、特定受給資格者と同様の所定給付日数とされます。

国民健康保険料が軽減される

特定受給資格者・特定理由離職者は、届出をすることにより国民健康保険料(税)が軽減される制度があります。詳しくは、お住まいの市町村でご確認下さい。

住民税が減免される

疾病による失職等と認められる場合は、お住まいの市町村へ申請することで必要に応じて減免を受けられる場合があります。