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月給制の従業員が欠勤をしたときの欠勤控除額の給与計算方法と端数処理

月給制の従業員が労働義務のある日に休んだ場合、欠勤した日数分の賃金を控除して計算します。これを「欠勤控除」といいますが、控除額の計算方法について規定はあるのでしょうか?

 

一般的な計算方法

労働義務がある日に休んだ場合、1日当たりの賃金に相当する金額に欠勤した日数分を乗じて、賃金総額から控除することになります。

欠勤した日についてその分の賃金を控除することはノーワーク・ノーペイの原則に基づいているので違法ではありませんが、欠勤控除額を算出するための計算方法やルールについては、労働基準法の明確な定めはありません。

 

1日当たりの欠勤控除額は、次の計算式で求めます。

【1日あたりの欠勤控除額】
月給額÷月における任意の日数

月における任意の日数は、合理性のあるルールに基づいていれば、会社が自由に決定して問題はありません。一般的には次の4つのパターンがあり、①の算出方法で控除額を計算するケースが多いです。

①1年間における月平均所定労働日数
(365日-年間所定休日日数)÷12ヶ月
※うるう年の場合は366日
【例】所定休日日数が、土日祝120日・年末年始4日の場合
{365-(120+4)}÷12=20.08… → 20日
②その月の所定労働日数
その月(一賃金計算期間)の所定労働日数は、歴日数から休日を除いた日数になります。
③1年における月平均歴日数
1年における月平均歴日数は、1年365日÷12ヶ月=30.41… → 30日
④その月の暦日数
その月(一賃金計算期間)の歴日数(28日・29日・30日・31日)

②④については、日数が各月によって異なるので、欠勤控除の単価が月によって変動し、事務的に煩雑になるというデメリットがあります。③④は、分母としての日数が実労働日より多くなるため、①②に比べ控除額が少なくなります。

 

控除計算における端数処理

控除額を計算する際に出た小数点以下の端数の取扱いについては、必ず切り捨てをします。

端数部分を切り上げて1円でも多く控除してしまうと、不就労時間以上の控除(実際に労働したにも関わらず支払われない賃金があること)と考えられ、労働基準法違反になってしまう可能性があるためです。したがって、計算過程で出た円未満の端数は切り捨て、労働者にとって不利益にならない方法を選択します。

 

欠勤日数が多い場合は日割りで計算

①の1年間における月平均所定労働日数を計算基礎日数にして欠勤控除の計算をする方法が合理性があり一般的ですが、この計算方法は欠勤が多くなった場合に、給与がマイナスになってしまう問題が出てきます。

例えば、実際の総労働日数が21日ある月に20日欠勤した場合、月平均所定労働日数を20日で計算すると、実際には1日出勤したにも関わらず、給与計算上ではその月の給与が全額控除され無給となってしまう結果になります。

 

これを解決する1つの対処法として、通常は欠勤した日数分の賃金を控除していく減額方式ですが、月に一定の基準日を超えた欠勤をした場合には、実際に勤務した日数分の賃金を日割りで計算(1日あたり賃金額×出勤日数)する加算方法に切り替えることです。基準日を何日とするかは、会社の実情や方針により決定して問題ありません。

 

例:

【欠勤が基準日以下の場合】(欠勤日数分、控除)

「月給額÷1年間における月平均所定労働日数×欠勤日数」を賃金総額から控除する。
【欠勤が基準日超の場合】(出勤日数分、日割り計算)

「月給額÷1年間における月平均所定労働日数×出勤日数」を賃金とする。

 

就業規則等の定め

欠勤した分の賃金を控除することについて、労働基準法における規定はありません。そのため、欠勤控除の計算は会社が自由に取り決めることになります。労使間のトラブルを防ぐために、欠勤控除について就業規則・賃金規程等で明確に定め、従業員へ周知することが必要です。