試用期間は就業規則などにおいて定められ、その期間中は労働者の能力などを審査し、適格性があるかどうかを判断するために試験的に雇用することを目的に設けられるものです。
試用期間中は解約権留保付労働契約となり、客観的かつ合理的な理由があれば採用を取りやめることができる期間となっています。
そのため、すぐに退職、解雇してしまった場合に手続きが煩わしいこともあり、本採用になるか否か決定していない労働者をわざわざ社会保険や雇用保険に加入させる必要はないと考える使用者も少なくありません。
試用期間中の社会保険・雇用保険の取扱い
試用期間中であっても、社会保険の強制適用事業所に雇用されていれば、加入条件を満たす労働者は当然に被保険者となり、雇用保険においても条件を満たす限り当然被保険者となります。
これには根拠となる通達があり、最初の一定期間を試用期間とする場合であっても最初に雇用された日に被保険者とすべきものとされています。(昭和13年10月22日社庶第229号)
労働者の出入りが頻繁で働き続けるか否かわからないといった理由などで、試用期間が終わり本採用とした日に資格取得を遅らせるといったことはできません。(昭和26年11月28日保文発5177号)
したがって、試用期間中の労働者に関して、社会保険については「被保険者資格取得届」を入社日から5日以内に年金事務所へ、雇用保険については「雇用保険被保険者資格取得届」を入社日の属する月の翌月10日までに所轄公共職業安定所へ提出する必要があります。
加入させなかったときの罰則
加入要件を満たしていながら、立入検査等により試用期間中の労働者を社会保険および雇用保険に加入させていなかったことが判明した場合、会社側に罰則があります。
社会保険
正当な理由なく使用期間中の労働者の資格取得を届け出ない場合、事業主に対し6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。(健康保険法第208条、厚生年金保険法第102条)
雇用保険
雇用保険法第7条「被保険者に関する届出」の規定に違反して資格取得の届出をしていなかった場合、事業主に対し6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます。(雇用保険法第83条)
実際には、労働局から是正勧告や指導が行われ改善を図っていくことになりますが、指導や勧告を受けても改善されなかった場合は上記の処罰を受けることになります。