固定的賃金に変動があった場合、変動月からの3ヶ月間の給与の平均月額に該当する標準報酬月額が2等級以上上がったり下がったりしたときは随時改定の対象となり、月額変更届を提出する必要があります。
そこで、2ヶ月連続で昇給や降給があり固定的賃金の変動があった場合は、どのタイミングで随時改定するのでしょうか?
3ヶ月以内に2度の固定的賃金変動があったとき
これについては、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(平成29年6月2日事務連絡)」の中で回答があります。
固定的賃金の変動が発生した後、3ヶ月以内に再度固定的賃金が変動した場合には、その都度それぞれの固定的賃金変動を随時改定の対象として取り扱われます。
例えば、4月に基本給の昇給により固定的賃金の変動があったときは、4月、5月、6月の残業手当等の非固定的賃金を含む報酬の平均額を基に2等級以上の差が生じているかを確認します。随時改定の対象となった場合には、7月に随時改定が行われます。
5月にまた固定的賃金の変動があったときは、5月、6月、7月の報酬の平均額を基に判断され、これも直近の7月の随時改定で決定した標準報酬月額と比較して2等級以上の差が生じた場合に、8月に随時改定が行われます。
つまり、両月とも2等級以上の差が生じた場合には、2ヶ月連続で随時改定を行うことになります。
具体例
例:4月に5,000円の昇給、5月に10,000円の昇給があった場合
固定的賃金 | 非固定的賃金 | 計 | |
---|---|---|---|
3月 | 245,000 | 5,000 | 250,000 |
4月 | 250,000 | 5,000 | 255,000 |
5月 | 260,000 | 10,000 | 270,000 |
6月 | 260,000 | 15,000 | 275,000 |
7月 | 260,000 | 20,000 | 280,000 |
従前の標準報酬月額:[19(16)等級 240,000円]
【7月】
4月基本給の昇給により固定的賃金の変動あり
(255,000+270,000+275,000)÷3=266,666…
→ [20(17)等級 月額260,000円]の行に該当
1等級の変動のため随時改定の対象にならず、[19(16)等級 240,000円]のままになります。
【8月】
5月基本給の昇給により固定的賃金の変動あり
(270,000+275,000+280,000)÷3=275,000
→ [21(18)等級 月額280,000円]の行に該当
7月の等級は[19(16)等級 240,000円]ですので、2等級以上の変動があり随時改定の対象となります。
よって、8月の等級は、[21(18)等級 月額280,000円]に該当します。
仮に、7月で2等級以上の変動があり随時改定の対象となった場合には、改定後の等級と比較します。