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電車遅延や運休などで遅刻した場合は欠勤扱い?給与支払義務はある?就業規則の記載例

電車バスなどの公共交通機関の遅延・運休により不可抗力で遅刻した場合の給与について、欠勤控除することは違法か、会社に賃金の支払い義務はあるのでしょうか?就業規則等への条文例についても紹介します。

 

遅刻への対応

遅刻扱いとする?

通常、従業員の個人的な都合のためや寝坊など従業員に非がある遅刻の場合には、欠勤扱いとしその時間分の給与は控除して計算します。

それと同じように、公共交通機関の予期せぬ遅延・運休や自然災害による道路交通状況の影響などにより、従業員に非のない遅刻であっても、欠勤扱いとし、その時間分の給与を控除することは違法ではありません。これは、「労働しなかった分の賃金については会社は支払う義務はない」という「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づくものであるためです。

もちろん、遅刻扱いとせずに、その分の通常の給与を支払っても何ら問題はありません。

 

一般的には、「公共交通機関の遅延による遅刻」は不可抗力であるため、遅延証明書の提出により遅刻扱いにせず欠勤控除しないという会社が多いかと思います。

 

遅刻した分の給与を支払うか不就労控除とするかは、会社ごとに取り決めることになりますので、労使間のトラブルとならないようしっかりと就業規則等に定めておくことが重要です。そして、定めた場合には、就業規則の内容に準じた対応をしなければなりません。

 

遅刻した分終業時刻を繰り下げる

就業規則で定めた場合には、遅れて出社した時間を始業の時刻とし所定労働時間分の勤務をすることで、終業の時刻を繰り下げるということも可能です。その日は所定労働時間分の労働をしているので、欠勤控除は行わずにすみます。

この場合、所定の終業時刻を過ぎても法定労働時間内であれば残業代を支払う必要もありません。(ただし、繰り下げた時間が22時~翌5時の時間帯にさしかかった場合は、深夜割増賃金を支払う必要があります。)

このような取り扱いとするには、就業規則等に「業務の都合その他やむを得ない事情により、始業・終業の時刻を繰り上げ、又は繰り下げることがある。」などという規定例が考えられます。

 

雇用形態により遅刻の扱いを変える

月給制の正社員は遅刻を欠勤扱いとせず、時給制のパートのみ欠勤扱いとすることは、職場内の不公平感を生じさせてしまいますので、雇用形態にかかわらず一定のルールに沿った対応をしなければなりません。

 

遅延証明書は必要か?

交通機関の運休・遅延情報は、インターネットで容易に事実を確認できますので、出勤扱いとするにあたり従業員に遅延証明書を提出してもらわなくても、やむを得ない理由があると認める会社もあります。

各鉄道会社は、公式サイトで遅延証明書を掲載しているので、労務管理者が一括して証明書を保管しておくのもよいでしょう。

 

遅延を証明する書類を必要とする場合は、ルールを明確化しておくためにその旨を就業規則等に明示しておくことをお勧めします。

 

就業規則の記載例

一例です。会社の実情に合わせて変更して作成します。

 

【欠勤扱いとしない場合(証明書不要)】

(遅刻・早退・欠勤等)
1.労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に○○に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。
2.前項の場合は、原則として不就労分に対応する賃金は控除する。ただし、公共交通機関の遅延など合理的な理由があるとして○○が認めた場合には賃金から控除しない。

 

【欠勤扱いとしない場合(証明書必要)】

公共交通機関の遅延等、やむを得ない事情により遅刻した場合において、その事実を証明する書類を届け出たときは、賃金から控除しない。

 

【欠勤扱いとする場合】

公共交通機関の遅延等による遅刻の場合は、原則として欠勤扱いとし不就労分に対応する賃金を控除する。