建設業における一人親方が団体を通じて加入する特別加入の労災保険は、政府の承認を受けた団体を通して国に保険料が納付されます。この労災保険料は法人の場合は損金に算入されますが、個人事業主である一人親方の場合は法人とは取扱いが異なりますので、税務上の取扱いの間違いが多い事例のひとつです。一人親方(個人事業主)の労災保険料の会計処理と確定申告書の記入について説明します。
会計処理
個人事業主である一人親方の労災保険料は、事業所得において必要経費にはなりません。したがって帳簿上「事業主貸」で処理します。なお、加入団体へ支払う組合費や事務委託手数料等は必要経費になりますので「諸会費」等で計上します。
【例】加入団体へ労災保険料20,000円と組合費6,000円を現金で支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
事業主貸 | 20,000 | 現金預金 | 26,000 |
諸会費 | 6,000 |
確定申告書の記入例
一人親方の労災保険料は必要経費にはなりませんが、所得税の確定申告において保険料の全額を所得から控除することができます。
確定申告書Bの第二表「所得から差し引かれる金額に関する事項」の⑩「社会保険料控除」の欄に下記のとおり記入します。
【記入例】
社会保険の種類:労災保険料
支払保険料:(組合費や事務手数料等を除く保険料額)
また、第一表の「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除⑩」欄に、第二表で記入した社会保険料控除の合計金額(他の社会保険料控除がある場合は合算)を転記します。
※国税庁の確定申告書等作成コーナーで入力した場合は、自動入力
なお、労災保険料の所得控除は、控除証明書や領収証などの証明書類の添付は必要ありません。