失業保険(基本手当)の支給を受けることができる期間には期限があり、この期限を過ぎるとその日以後は受給することができなくなりますが、病気やケガ、妊娠、出産などの理由により就業できない場合には、受給期間を延長することができます。
受給期間を延長できる期間
失業保険(基本手当)を受けることができる「受給期間」は、原則として離職日の翌日から1年間に限られていますが、離職日の翌日から1年の間に、病気やけが、妊娠、出産、育児などの理由により引き続き30日以上継続して働くことができない期間がある場合は、受給期間の延長申請を行うことで、本来の受給期間1年に働くことができない日数を加えることができます。(雇用保険法20条1項、則30条)
受給期間が延長できる期間は、引き続き30日以上働くことができなくなった日数と同じ期間ですが、本来の受給期間とあわせて最大で離職日の翌日から4年間です。(所定給付日数が330日および360日の方も、最大で4年までとなります。)
例えば、受給期間1年の離職者が、その間病気などにより150日間就業できない状態にあった場合、延長の申請をすることにより150日を加えることができ、受給期間は合計で1年150日となります。
また、基本手当の受給中であっても、引き続き30日以上継続して働くことができない状態にあるときは、延長することができます。
働くことができない理由
受給期間が延長できる「働くことができない理由」には、次のようなものがあります。
- 妊娠
- 出産
- 育児(3歳未満の乳幼児の育児)
- 疾病または負傷
- 親族の看護
- 転勤辞令に伴う配偶者の海外赴任に本人が同行する場合 など
その他にも、管轄の公共職業安定所がやむを得ないと認める場合に受給期間の延長をすることができます。
・「妊娠」については、産前6週間以内に限らず、不妊治療中や妊娠のために働くことができない場合も含みます。
・「出産」については、妊娠4ヶ月(85日)以上の分娩をいい、生産、死産、早産を問いません。本人の出産に限られるので、配偶者の出産は延長できません。
・「疾病または負傷」については、その疾病または負傷を理由として傷病手当の支給を受ける場合には、延長の対象となりません。
働くことができない期間が30日未満の場合
働くことができない期間が30日未満の場合は、受給期間を延長することができません。
病気やけがの場合は、基本手当の受給決定後であれば、日数によって基本手当や傷病手当を受けることができます。
働くことができない期間 | 取扱い |
---|---|
継続して15日未満 | 基本手当(傷病手当なし・受給期間延長なし) |
継続して15日以上 | 傷病手当 |
引き続き30日以上 | 傷病手当か受給期間延長の選択 |
受給期間が4年を超えるとき
受給期間は最大で離職日の翌日から4年間ですので、病気などで働くことができない状態が長期間にわたり、受給期間1年に加えられた期間を合計すると4年を超えてしまうときは、延長できる期間が3年までとなります。
離職日以前から働くことができない状態にあるとき
離職日以前から病気やけがにより働くことができない状態にあっても受給期間延長の申請は可能です。
この場合、離職日の翌日から働くことができない状態が終わった日までの期間が受給期間に加えられます。
延長申請の手続き
延長の申請は、本人が手続きに来られない場合は、代理人や郵送等でも可能です。(代理人の場合、委任状が必要です。)
申請期限
受給期間の延長は、病気などで引き続き30日以上継続して働くことができなくなった日※の翌日から、延長後の受給期間の最後の日までの間に申請することができます。(※離職前から働くことができない状態が続いていた場合は、離職した日の翌日から30日経過した日)
ただし、申請期間内であっても、申請が遅い場合は、受給期間延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性がありますので、早めの手続きをおすすめします。
申請場所
住居所を管轄するハローワーク
必要書類
失業保険の受給手続きをしている場合
- 受給期間延長申請書
- 雇用保険受給資格者証 または 雇用保険受給資格通知
- 延長の理由を証明する書類
失業保険の受給手続きをしていない場合
- 受給期間延長申請書
- 離職票-2
- 延長の理由を証明する書類
「延長の理由を証明する書類」については、病気やけがの場合は医師の証明書等、妊娠等の場合は母子手帳等、海外赴任に同行する場合は転勤辞令等。
働ける状態になったとき
受給期間の延長をしている方が、働くことができる状態になったときは、延長理由がやんだ事を確認できる書類等を用意し、速やかに住居所を管轄するハローワークで手続きをしましょう。