令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間は、仕入税額控除ついて、現軽減税率の適用対象となる商品の仕入れかそれ以外の仕入れかの区分を明確にするための記載事項を追加した帳簿及び請求書等の保存が要件とされます。これを区分記載請求書等保存方式といいます。
しかし、領収証を発行する側は、区分記載請求書の交付義務がないため、区分記載請求書等保存方式での領収書等の発行は必須ではないとされています。したがって、軽減税率の適用対象商品と標準税率の対象商品を同一の店で購入したとき、領収書に8%と10%の課税取引が区分されていないと、異なる税率の消費税額が混在して記載されていることがあります。
このような領収書を受け取った場合でも、消費税額の計算においては税率毎に区分して会計処理をする必要があります。
そこで、軽減税率8%と標準税率10%の内訳が区分記載されていない場合は、下記の方法により各税率の対象金額を算出することができます。
8%の軽減税率対象品目の消費税を算出する方法
8%の軽減税率対象品目の税抜金額をyとした場合
1.08y + 1.1(税抜金額合計 -y)= 税込金額合計
という算式が成り立ちますので、yを求める算式は、
となります。
上記の算式で、軽減税率対象品目の税抜金額を算出することができます。
10%の標準税率対象品目の消費税を算出する方法
反対に、10%の標準税率対象品目の税抜金額をxとした場合
1.1x + 1.08(税抜金額合計 -x)= 税込金額合計
という算式が成り立ちますので、xを求める算式は、
となります。
上記の算式で、標準税率対象品目の税抜金額を算出することができます。
もちろん、8%の軽減税率対象品目の税抜金額を先に出した場合は、
標準税率対象分税抜金額 = 税抜金額合計 - 軽減税率対象分税抜金額
こちらの算式で計算した方が早いでしょう。
具体例と会計処理
標準税率対象品目(消耗品)と軽減税率対象品目(仕入)を同時に購入した場合。
【受領した領収書の記載】
税込金額13,249円(内、消費税等1,099円)
① 税抜金額合計
税抜金額合計13,249円 - 1,099円 = 12,150円
② 軽減税率対象分税抜金額
算式(税込金額合計 - 税抜金額合計 × 1.1)× 50
=(13,249 - 12,150 × 1.1)× 50
= 5,800円
③ 標準税率対象分税抜金額
税抜金額合計12,150円 - 軽減税率対象分税抜金額5,800円 = 6,350円
④ それぞれの消費税額
軽減税率対象分:5,800円 × 8/100 = 464円
標準税率対象分:6,350円 × 10/100 = 635円
【仕訳例】
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入(8%) | 5,800 | 現金 | 13,249 |
仮払消費税 | 464 | ||
消耗品(10%) | 6,350 | ||
仮払消費税 | 635 |