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返品・値引・割戻をしたときの会計処理と消費税の取扱い

商品を販売するなどの売上取引を行った後、返品・値引・割戻等をしたことにより、売上代金の全部または一部を返還・減額した場合の経理処理について説明します。

用語の意義

返品・値引・割戻には、売上代金が返還または減額されるという共通点がありますが、その定義は異なります。

返品とは・・・品違いや数量違いなどによる商品の返却をいいます。
値引とは・・・品質不良や破損などにより商品の代金を一部免除することをいいます。
割戻とは・・・当事者間で割戻契約を結び、売買総額が一定以上に達した場合、あらかじめ取り決めた額や率により商品代金を一部免除することをいいます。

 

会計処理と売上調整を行う時期

返品・値引・割戻等の経理処理には、「売上戻り/売上値引/売上割戻」などの科目を使用する処理方法と、売上高から直接減額する処理方法(この方法を継続して適用することが要件)が認められています。 この2つの方法は消費税の税額計算上、計算過程は異なりますが、計算結果である納税額は変わりません。

返品・値引・割戻等は売上を計上したときではなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います。

仕訳例

掛で100,000円の商品を売り上げ、その後10,000円の商品の返品をうけた

原則:「売上戻り/売上値引/売上割戻」などの科目を使用する

【売上時】

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
売掛金100,000売上高(課税売上げ)100,000

【売上返品時】

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
売上戻り高(売上返還)10,000売掛金10,000

 

特例:売上高から直接減額する処理方法

【売上時】

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
売掛金100,000売上高(課税売上げ)100,000

【売上返品時】

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
売上高(課税売上げ)10,000売掛金10,000

消費税の取扱い

原則として、課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除します。課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除することはできません。

だだし特例として、継続適用を要件に課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除することが認められています。つまり「売上げに係る対価の返還等に係る消費税額の控除」の処理は行いません。

原則総額処理課税標準額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等に係る消費税額を控除する
特例純額処理課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除する

また、この売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額について控除を受ける場合は、売上げに係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿の保存義務があります。

 

免税事業者のときに売り上げた対価の返還等

免税事業者であった課税期間において行った売上について、課税事業者となった課税期間において売上げに係る対価の返還等を行った場合には、売上げに係る対価の返還等の消費税額の控除の適用はありません。

また、課税売上割合の計算において、税抜修正は不要になります。