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交通系ICカード(電子マネー)でチャージしたとき・使用したときの会計処理

PASMOやSuica、ICOCAなどの交通系ICカードの電子マネーの経理処理は、主に2通りの方法があります。

  • 決済したときに経費として計上する方法
  • チャージしたときに経費として計上する方法

原則的には、決済したとき(費用が発生したとき)に経費に計上するのが本来の正しい経理処理になりますが、実務上においては、チャージした時点でその金額を交通費として計上することが容認されるケースが多くなっています。

しかし、近年では電車やバスの乗車時だけではなく、コンビニや自動販売機、飲食店など、あらゆる場面においてもその代金を決済することができます。複雑化する電子マネーの会計処理について、上記2通りの方法に分けて説明します。

 

決済したときに経費に計上する方法

業務で使用するためだけに専用の交通系ICカードを作った場合

交通系ICカードの初回購入時

【例】交通系ICカード5,000円分(内デポジット金額500円を含む)を購入した

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
預け金500現金5,000
小口現金/仮払金など4,500

交通系ICカードの初回購入時にデポジット(預り金)を鉄道会社に支払います。デポジットはICカード返還時に返金されますので預け金に資産計上します。また、デポジットはJRでは発売価格(1,000円・2,000円・3,000円・4,000円・5,000円・10,000円)の中に含まれておりますので、デポジット金額を除いた金額がチャージされていることになります。

チャージ金額は、通常の現金と区別するために小口現金勘定や仮払金勘定を使用すると便利です。現金として処理しても構いません。

チャージしたとき

【例】交通系電子マネーに現金で3,000円チャージした

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
小口現金/仮払金など3,000現金3,000

チャージした金額も現金として把握する場合は【仕訳処理なし】で構いません。

交通費として使用したとき

【例】交通系電子マネーで運賃300円を支払った

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
旅費交通費300小口現金/仮払金など300

電車等で自動改札機にタッチしたとき、運賃がチャージ金額から差し引かれます。乗車区間の運賃金額を旅費交通費に計上します。

商品を購入したとき

【例】事務用品1,000円を購入し、交通系電子マネーで決済した

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
消耗品1,000小口現金/仮払金など1,000

コンビニ等で商品を購入したとき、飲食店で飲食代を支払った際など、代金を電子マネーで決済した場合には、使用目的に該当する勘定科目で処理することになります。

チャージしたときに旅費交通費に計上する方法

交通系ICカードの初回購入時

【例】交通系ICカード5,000円分(内デポジット金額500円を含む)を購入した

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
預け金500現金5,000
旅費交通費4,500

交通系ICカードの初回購入時にデポジット(預り金)を鉄道会社に支払います。デポジットはICカード返還時に返金されますので預け金に資産計上します。また、デポジットはJRでは発売価格(1,000円・2,000円・3,000円・4,000円・5,000円・10,000円)の中に含まれておりますので、デポジット金額を除いた金額を旅費交通費として処理します。

 

チャージしたとき

【例】交通系電子マネーに現金で3,000円チャージした

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
旅費交通費3,000現金3,000

チャージしたときに旅費交通費に計上しますので、チャージ金額を全額旅費交通費として処理します。

 

交通費として使用したとき

【仕訳処理なし】

チャージした時点ですでに旅費交通費に計上してますので、交通機関に乗車したときに電子マネーで決済した交通費は処理しなくてよいことになります。

 

商品を購入したとき

【例】事務用品1,000円を購入し、交通系電子マネーで決済した

借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
消耗品1,000旅費交通費1,000

旅費交通費として処理したにもかかわらず、誤って電子マネーで商品(会社で使用するもの)などを購入してしまったときは、同じ期であればすでに計上した旅費交通費と相殺します。

事業と関係ないものなどプライベートな目的で購入したときは、個人事業主の場合は「事業主貸」勘定で処理すればよいですが、法人の場合「給与」とみなされ、所得税も課税されることになります。

この方法では、電子マネーへのチャージ額が少額であれば影響はありませんが、多額になると各期の損益において正確性を欠くことになります。また、うっかり私用な目的で決済してしまうと税務調査で指摘されることもありますので、必ず乗車履歴の印刷や乗車記録のメモを取るなどして正しい経費を計上することが重要です。