駐車違反やスピード違反などの交通違反をしたときに支払う反則金は、違反をした者に対する金銭的制裁であり、反則金を損金または必要経費に算入することで税を減少させる効果を持ってしまうのは、罰金としてしての意味合いが薄れてしまいます。
そこで、国は交通反則金を次のように取り扱うこととしています。
法人の場合
法人の役員や従業員が交通違反をした場合に支払う反則金を法人が負担した場合には、その交通違反が「業務中」によるものか「業務外」によるものであるかでその取扱いが異なります。
業務中に係るもの
法人の役員や従業員が、業務の遂行に関連して交通違反をした場合でも、その反則金等は法人税の計算上、損金に計上できません。
会社が租税公課などの費用として計上した場合は、法人税申告書の別表四において「損金計上交通反則金」などで加算する必要があります。
業務外に係るもの
社用車を個人的な用途で利用していた場合など、業務以外で交通違反をしたものに課される交通反則金を会社が支払った場合には、本来違反をした個人が負担するものを会社が肩代わりしているわけですから、個人への給与として扱われます。
ただし、その違反をした個人が役員であるか従業員であるかによって、また法人税法上の取扱いが異なりますので注意が必要です。
従業員の交通反則金
あまり見ないケースかと思いますが、従業員が業務外での交通違反の反則金を会社が支払った場合、その従業員に対する給与として扱われ、損金に算入することができます。
ただし、給与としての取扱いなので、源泉所得税の対象となり、従業員の住民税の課税対象にもなります。
役員の交通反則金
一方、役員が業務外での交通違反の反則金を会社が支払った場合、その役員に対する臨時的な給与として扱われ、定期同額給与に該当しませんので、損金に算入することはできません。
役員給与として費用に計上した場合は、法人税申告書の別表において「役員給与の損金不算入額」などで加算する必要があります。
さらに、給与としての取扱いなので、源泉所得税の対象となり住民税の課税対象にもなります。法人の損金に算入できない上に、個人の所得税・住民税が課税されるため、節税という観点からメリットはありません。
※補足
違反をした役員に負担させるが、一旦会社が立て替えて支払った場合は、社員に対する貸付金になります。貸付金とした場合は、利息を徴収する必要があります。詳しくはこちらのページをご覧ください。

個人事業主の場合
業務遂行中による交通反則金は、交通違反をした者が個人事業主であっても従業員であっても必要経費になりません。個人事業主自身の業務外の交通反則金ももちろん必要経費に算入することはできません。
ただし、従業員の業務外で交通違反したことによる反則金を個人事業主が負担する場合は、法人と同様、給与として取り扱われ必要経費にできます。この場合の従業員の給与は、源泉所得税の対象となり、従業員の住民税の課税対象にもなります。