所得税は、個人が1暦年間に得たすべての所得に対して課される国税ですが、所得の性質を考慮し社会政策的な見地から課税しないこととしている所得が定められています。これを「非課税所得」といいます。
非課税所得の具体例
課税されない所得には、具体的に以下のようなものが挙げられます。
利子所得関係
- 年利1%以下の当座預金の利子
- 納税準備預金の利子
- こども銀行の預貯金等の利子
- 障害者等が預け入れる少額預貯金・少額公債(元本350万円まで)の利子
- 勤労者財形住宅(年金)貯蓄(住宅と年金を合わせて元本550万円まで)の利子
給与所得関係
- 給与所得者の月額15万円までの通勤手当
- 給与所得者の職務遂行上必要と認められる費用(出張旅費、転勤費用など)
- 給与所得者の職務遂行上必要な現物給付(制服、食費など)
- 住宅取得資金の低利貸付、住宅ローンの利子補給(年利1%未満のとき「1%の利息ー自己負担額」は課税)
年金関係
- 疾病者が受ける恩給や年金(増加恩給、傷病賜金、障害年金など)
- 遺族が受ける恩給や年金(遺族恩給、遺族年金等など)
- 心身障碍者扶養共済制度に基づく給付金
譲渡所得関係
- 生活用動産(家財、衣服、時価30万円以下の宝石など)の譲渡所得(貴金属や骨とう品は除く)
- 競売などの強制換価手続による資産の譲渡所得(商品などの棚卸資産は除く)
- 公社債等の譲渡所得(新株予約券付社債、一定の割引公社債位などを除く)
- NISAなどの非課税口座内の少額上場株式等にかかる譲渡所得
- 国等に対して財産を寄付した場合の譲渡所得
- 相続税の物納をしたことによる譲渡所得
配当所得関係
- オープン型証券投資信託の特別分配金
- NISAなどの非課税口座内の少額上場株式等にかかる配当所得
損賠賠償金関係
- 心身の障害に基づき支払いを受ける損害保険金、損害賠償金、慰謝料、見舞金等(満期返戻金、解約返戻金を除く)
- 心身の障害に基づき支払いを受ける損害保険金、損害賠償金、見舞金等(満期返戻金、解約返戻金、必要経費に算入される費用の補填部分、事業所得等の収入金額に代わる性質を有するものを除く)
- 入院給付金等
その他
- 文化功労者年金、財務大臣の定める学術・芸術奨励金、ノーベル賞の賞金
- オリンピック・パラリンピックの賞金
- 学資金、法定扶養料
- 相続、遺贈により取得するもの(生命保険金等)
- 個人からの贈与により取得するもの(法人からの贈与を除く)
- 市町村や特別区から支給される定額給付金
その他の法令によるもの
- 宝くじの当せん金
- スポーツ振興投票券(toto)の払戻金
- 健康保険、国民健康保険、介護保険の保険給付
- 厚生年金保険の保険給付(老齢厚生年金を除く)
- 雇用保険の失業給付
- 労働者災害補償保険の給付
- 児童手当、児童扶養手当
- 児童福祉法の規定により支給を受ける金品
- 生活保護法の規定により支給を受ける保護金品
非課税所得の手続きは?
所得税が課税されない非課税所得について、手続き(確定申告)は必要ありません。
また、非課税所得は課税対象所得から除外されているので、所得の計算上損失が生じても、その損失額は何ら考慮されないこととなります。