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礼金を支払ったときの会計処理(勘定科目・仕訳・消費税の取扱い)

事務所や店舗の賃貸借契約時に、賃貸人に礼金を支払った場合の会計処理について説明します。

礼金はその金額や契約期間によって処理が異なりますので、賃貸借契約書をよく見てケースごとに仕訳を切る必要があります。

消費税の取扱い

礼金にかかる消費税の取扱いは、その物件が事業用か居住用かによって異なります。

賃貸契約において店舗や事務所などの事業用として賃貸している場合は、「課税仕入れ」となります。社宅などの居住用の場合は、仕入税額控除の対象外となります。

 

礼金の金額が20万円未満の場合

契約時

契約時に全額を支払手数料として費用計上することができます。

【例】礼金100,000円を支払った

借方金額貸方金額
支払手数料(課税仕入れまたは非課税仕入れ)100,000現金預金100,000

 

礼金の金額が20万円以上の場合

20万円以上の礼金は税務上の繰延資産に該当しますので、契約時には長期前払費用として資産計上し、期末・決算時に償却期間で按分して取り崩します。

償却期間は、以下のとおり契約期間によって異なります。

  • 契約期間が5年以上の場合、5年
  • 契約期間が5年未満の場合、契約期間の年数

【例】礼金:500,000円 契約日:X1年9月1日 契約期間:3年 事業年度:4月1日~3月31日

契約時(X1年9月1日)

借方金額貸方金額
長期前払費用500,000現金預金500,000

※消費税の取扱いについて(事業用賃貸借契約)

消費税は支払ったときに全額課税仕入れとするため、500,000円が課税仕入れとなります。

会計ソフトでの入力の際には、長期前払費用を課税仕入れとして取り扱います。

 

1年目(X1年4月1日~X2年3月31日)の期末・決算時

借方金額貸方金額
支払手数料(対象外)97,222(※1)長期前払費用263,888
前払費用166,666(※2)

(※1)当期分(X1年9月~X2年3月分)を支払手数料として費用計上します。

500,000×7月/36月=97,222円(1円未満切り捨て)

(※2)1年以内(X2年4月~X3年3月分)に償却期間が到来するものを前払費用として短期流動資産に計上します。

500,000×12月/36月=166,666円

※消費税の取扱いについて

契約時、礼金を支払ったときにすでに全額課税仕入れに計上しているため、振替時の支払手数料は課税対象外となります。

 

2年目(X2年4月1日~X3年3月31日)の期末・決算時

借方金額貸方金額
支払手数料(対象外)166,666(※1)前払費用166,666
前払費用166,666(※2)長期前払費用166,666

(※1)当期分(X2年4月~X3年3月分)を支払手数料として費用計上します。

500,000×12月/36月=166,666円

(※2)1年以内(X3年4月~X4年3月分)に償却期間が到来するものを前払費用として短期流動資産に計上します。

500,000×12月/36月=166,666円

 

3年目(X3年4月1日~X4年3月31日)の期末・決算時

借方金額貸方金額
支払手数料(対象外)166,666(※1)前払費用166,666
前払費用69,446(※2)長期前払費用69,446

(※1)当期分(X3年4月~X4年3月分)を支払手数料として費用計上します。

500,000×12月/36月=166,666円

(※2)1年以内(X4年4月~8月分)に償却期間が到来するものを前払費用として短期流動資産に計上します。

翌期は、契約期間満了の日が属する年ですので、礼金の額から既に償却した金額を差し引いた残りの金額(未償却残高)が、1年以内に償却期間が到来するものとなります。

500,000 -(97,222※1年目償却額+166,666※2年目償却額+166,666※3年目償却額)=69,446円

 

4年目(X4年4月1日~X5年3月31日)の期末・決算時

借方金額貸方金額
支払手数料(対象外)69,446(※1)前払費用69,446

(※1)当期分(×4年4月~8月分)を支払手数料として費用計上します。最終年度は、未償却分を計上します。

500,000 -(97,222※1年目償却額+166,666※2年目償却額+166,666※3年目償却額)=69,446円