所得税は、個人が得た所得を10種類に区分して、その所得の態様や性質を考慮しそれぞれに見合った税金の計算をすることとしています。
10種類に区分した所得のうち、事業所得について説明します。
事業所得とは
事業所得とは、事業から生ずる所得をいいます。
事業とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などが該当し、業種の限定はありません。
事業所得に該当する事業かどうかは、営利性・有償性があり、反復・継続・独立して営まれる業務であって、社会通念上事業と認められるかどうかにより判断します。
さらに「所得税の確定申告書」においては、事業所得を「営業等所得」と「農業所得」に区分しています。
- 営業等所得・・・小売業、卸売業、製造業、サービス業、建設業、畜産業、漁業、医者、弁護士など
- 農業所得・・・農作物(米、麦、野菜、花、果樹等)の栽培・生産など
事業所得となるもの
事業所得には、その事業から生ずる直接的な所得のほかに、次のようなものも含まれます。
- 商品を自家用に消費したり贈与した場合のその商品の価額
- 商品などの棚卸資産が被害に遭い支払を受けた保険金や損害賠償金
- 事業用資産の購入に伴って景品として受ける金品
- 仕入割引や得意先からのリベート
- 空箱や作業くずなどの売却代金
- 少額の減価償却資産(10万円未満)または一括償却資産(20万円未満)の必要経費算入の適用を受けた資産の売却
- 従業員の社宅や寮の使用料収入
- 広告の掲示による収入
- 事業の遂行上、取引先や従業員に貸し付けた貸付金の利子
- 時間貸有料駐車場の収入(事業所得または雑所得)
- 事業的規模の土地などの継続売買
- 取得後5年以内の山林の譲渡(事業所得または雑所得)
事業所得とならないもの
事業所得と間違えやすい所得には、次のようなものがあります。
- 事業用資金として金融機関に預けた預貯金の利子(利子所得)
- 取引会社の株式に係る配当金(配当所得)
- 知人に対する貸付金の利子(雑所得)
- 不動産の貸付けによる所得(不動産所得)
- 事業用の固定資産の譲渡による所得(譲渡所得)
- 山林の売買業者による取得後5年を超えた山林の譲渡(山林所得)
- 作家等(事業所得者)でない者の原稿料収入(雑所得)
所得金額の計算
事業所得の金額は、1暦年間の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除して計算します。
所得金額 = 総収入金額 - 必要経費
「総収入金額」は、売上高の他、事業付随収入を含めます。
「必要経費」は、売上原価の他、その事業について生じた「販売費および一般管理費」(給料、水道光熱費、広告宣伝費、減価償却費など)を含めます。
事業所得の課税方法
事業所得は、他の所得と総合して税額を計算する総合課税となりますので、確定申告が必要です。