賃金の計算において生じる賃金額の端数処理については、厚生労働省労働基準局による通達(昭和63年3月14日 基発第150号)によって次のような取り扱いが認められています。
割増賃金の端数処理
割増賃金の端数処理については、次の方法は常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるため、労働基準法第24条(賃金全額払いの原則)および同法第37条(割増賃金の支払義務)違反として取り扱わないこととされています。
1時間あたりの賃金額および割増賃金額
1時間あたりの賃金額および割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げます。
1ヶ月間における割増賃金の総額
1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げます。
1ヶ月の賃金額の端数処理
1ヶ月の賃金額の端数処理については、次の方法は賃金支払の便宜上の取扱いと認められるため、労働基準法第24条(賃金全額払いの原則)違反として取り扱わないこととされています。
1ヶ月の賃金額の端数処理について以下のような処理をする場合には、その旨を就業規則に定めることが必要です。
100円未満の端数処理
1ヶ月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除後の額)に100円未満の端数が生じた場合は50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数を100円に切り上げて支払うことができます。
1,000円未満の端数処理
1ヶ月の賃金額に1,000円未満の端数がある場合は、その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことができます。
間違った端数処理による罰則
以上のように認められた端数処理によって賃金を全額支払わない場合は、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金に処せられます。