消費税には、消費税が課税される「課税取引」と、消費税が課税されない「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」があります。
これらの違いや判定について説明します。
概要
消費税が課される「課税の対象」は、国内において事業者が行った資産の譲渡等および特定仕入れ(国内取引)、保税地域から引き取られる外国貨物(輸入取引)とされています。(課税取引)
したがって、国外で行われた取引や、国内における取引であっても事業者以外の者が行った取引は課税の対象とならず、消費税は課されません。(不課税取引)
また、課税の対象となるもののうち、一定の取引については消費税が課されないもの(非課税取引)や消費税が免除されるもの(免税取引)があります。
「非課税取引」・・・課税の対象になるが、一定の取引に該当し、消費税が課されないもの
「免税取引」・・・課税の対象になるが、消費税が免除されるもの
「不課税取引」・・・課税の対象にならないもの
課税取引とは
消費税が課税される取引は、次のすべての要件を満たすものです。(特定資産の譲渡等を除く)
- 国内において行うもの
- 事業者が事業として行うもの
- 対価を得て(有償で)行うもの
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること
この要件が消費税の大前提となっており、要件すべてを満たすものを「課税取引(6.3%課税)」といい、消費税が課されます。
不課税取引とは
課税取引の4要件のうち、ひとつでも要件が欠ければ消費税は課税されません。これを「不課税取引」といいます。
つまり、「国外で行う取引」、「事業者が事業として行う取引ではない取引」、「対価性のない取引」、「資産の譲渡・貸付け・役務の提供のいずれにも該当しない取引」のどれか1つでも該当する場合は、不課税取引になります。
非課税取引とは
課税取引の4要件を満たすものであっても、「消費税としての性格から課税することになじまないもの」や「社会政策的配慮により課税することが適当でないもの」については消費税を課さないこととしています。これを「非課税取引」といいます。
非課税取引は、13項目に限定列挙されています。
- 土地の譲渡・貸付
- 有価証券・支払手段などの譲渡
- 利子を対価とする金銭の貸付け・保険料を対価とする役務の提供など
- 郵便切手類・印紙・証紙・物品切手等の譲渡
- 行政手数料・外国為替業務などにかかる手数料を対価とする役務の提供
- 社会保険医療などの資産の譲渡等
- 介護保険法に基づく居宅サービス・社会福祉事業などとして行われる資産の譲渡等
- 身体障碍者用物品の譲渡等
- 助産にかかる資産の譲渡等
- 埋葬料・火葬料を対価とする役務の提供
- 授業料・入学検定料・入学金などの教育として行う役務の提供
- 教科用図書の譲渡
- 居住用とされる住宅の貸付け
これ以外のものが「非課税取引」に該当することはありません。
免税取引とは
課税の4要件を満たす取引のうち輸出取引等に該当するものに対し、本来課税されるべき消費税が免除されます。これを「免税取引(0%課税)」といいます。
消費税は国内において消費される財貨やサービスに対して課税していることから、輸出して外国で消費されるものや国際通信、国際輸送など輸出に類似する取引については、諸外国への政策的配慮や二重課税防止の観点から消費税を免除することとしています。
免税取引には、大きく次の3つに分類と以下のようなものがあります。
- 輸出免税(輸出に類似した取引を含む)
・国内からの輸出として行われる資産の譲渡、貸付け
・外国貨物の譲渡、貸付け
・国際輸送、国際通信、国際郵便、国際信書便 - 輸出物品販売場(いわゆる免税店)における輸出物品の譲渡にかかる免税
免税店が外国人旅行者などの非居住者に対して通常生活の用に供する物品※を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除されます。
※同一店舗における同一の非居住者に対して行う1日の販売額の合計が以下のもの(金又は白金の地金は除く)
・一般物品(消耗品以外)・・・5千円以上
・消耗品(飲食物、薬品、化粧品など)・・・5千円以上50万円以下 - 消費税法以外の法律に基づくその他の免税
・外航船舶等に積み込む物品の譲渡
・外国公館等に対する課税資産の譲渡等
・海軍販売所等に対する物品の譲渡
・合衆国軍隊等に対する資産の譲渡等
取引分類のまとめと判定フローチャート
取引分類
| 国内取引 | 課税対象 | 課税取引 | 課税取引(6.3%課税) |
| 免税取引(0%課税) | |||
| 非課税取引 | |||
| 課税対象外 | 不課税取引 | ||
| 国外取引 | |||
課税の判定フローチャート
※特定仕入れおよび輸入取引を除く

