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働きながら年金をもらうといくら減らされる?高在老と低在老の在職老齢年金

厚生年金保険の適用事業所で働きながら老齢厚生年金を受給すると、その給料と年金額によっては年金額の全部または一部が支給停止される場合があります。

 

在職老齢年金の対象となる方

厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給する方について、年金の支給額を調整する仕組みを「在職老齢年金」といいます。(厚生年金保険法第46条)

65歳未満(低在老)の厚生年金被保険者であり、老齢厚生年金の繰上げ支給や特別支給の老齢厚生年金を受ける場合もこの在職老齢年金の対象です。

70歳以上の被用者は厚生年金保険の被保険者とはならないため保険料は徴収されませんが、在職老齢年金に該当する場合は70歳以降も支給停止の対象になります。

 

支給停止される金額

支給停止調整額は「47万円」とされています。

基本月額総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき、その合計額から47万円を控除した額の1/2に12を乗じた額が停止されます。つまり、簡単に言うと、賃金の額と1ヶ月当たりの年金の額を合わせた金額が47万円を超えるか否かで、受給できる年金額に影響が出てきます

在職老齢年金の仕組み

 

「基本月額」とは

基本月額は、老齢厚生年金額(年額)を12で割った金額をいいます。

65歳以後(高在老)

$$基本月額=\frac{老齢厚生年金額-加給年金額-繰下げ加算額-経過的加算額}{12}$$

※共済組合等からの老齢厚生年金も受給している場合は、日本年金機構と共済組合等からの全ての老齢厚生年金を合わせた年金額を12で割った金額です。

※老齢厚生年金の額は、加給年金額・繰下げ加算額・経過的加算額を除いた報酬比例部分のみの額が対象です。

65歳未満(低在老)

$$基本月額=\frac{定額部分-報酬比例部分}{12}$$

※加給年金額を除いた報酬比例部分のみの額が対象です。

 

「総報酬月額相当額」とは

総報酬月額相当額は、標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額総額を12で割った金額を合計した金額をいいます。総報酬月額相当額には賞与も含めます。

$$総報酬月額相当額=標準報酬月額+\frac{その月以前1年間の標準賞与額の総額}{12}$$

 

支給停止されない場合

総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額(47万円)以下であるときは、年金の支給は停止されません。

$総報酬月額相当額+基本月額≦47万円$の場合
$$支給停止される額=0(全額支給)$$

一部または全部が支給停止される場合

総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整額(47万円)を超えるときは、その超えた金額の1/2が支給停止されます。

$総報酬月額相当額+基本月額>47万円$の場合
$$支給停止される額=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×\frac{1}{2}×12$$

※支給停止額が基本月額以上となったときは、加給年金額も含めて年金の全部が支給停止されます

 

減額の対象とならない年金

支給停止となるのは、老齢厚生年金の部分のみですので、老齢基礎年金は減額されることはありません

また、一部または全部の支給が停止される場合であっても、繰下げ加算額・経過的加算額については支給停止されません。

加給年金においても、年金の全部が支給停止になる場合以外は、支給停止されません。

 

年金が減らされるなら受給を繰下げたらどうか?

65歳以降、在職老齢年金の規定によって支給停止を受けている場合、老齢厚生年金の繰下げ支給によって受給開始日を先送りして、さらに増額してもらえばいいのではないかと考えがちですが、支給停止されるはずの部分は、繰下げて受給しても増額はされないことになっています。

 

年金が減らされない働き方

年金の支給が停止されるのは厚生年金保険に加入して働く場合とされています。つまり、厚生年金の加入条件に当てはまらない働き方であれば、年金の支給が停止される在職老齢年金の適用を受けません。

 

厚生年金に加入しない条件で働く

厚生年金に加入しなければならない方は次の条件に当てはまる方です。

  • 労働日数・労働時間が正社員の4分の3以上ある方
  • 労働日数・労働時間が正社員の4分の3以上未満であって次の条件のすべてを満たす方
  1. 従業員101人以上の事業所に勤めている
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  3. 2ヶ月を超える雇用の見込み
  4. 1ヶ月あたりの報酬が88,000円以上

上記のいずれかに該当しない働き方であれば、在職老齢年金の適用を受けることはありません。

 

厚生年金に加入していない事業所で働く

法人は厚生年金の適用事業所として加入が強制されていますが、非適用業種や常時5人未満の個人事業主の事業所については、加入は任意となっています。正社員もしくは正社員並みの労働時間で働きたい場合は、厚生年金加入の適用を受けない事業所で働くと年金受給額は減額されません。

 

個人事業主として働く

雇用契約ではなく、個人事業主やフリーランス、業務委託などの形態で働くことで、厚生年金保険への加入は必要ありません。