弁護士や税理士の報酬、個人へ原稿料や講演料を支払う場合、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
源泉徴収税額は、源泉徴収の対象となる支払金額に10.21%(所得税+復興特別所得税)の税率を乗じて計算することになりますが、この源泉徴収税額は「消費税込みの金額」に乗ずるべきでしょうか?それとも「消費税抜きの金額」に乗ずるべきでしょうか?
源泉所得税と消費税等
源泉徴収税額は、原則として、消費税込みの支払金額に源泉徴収税率10.21%を乗じて算出することになります。
ただし、請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税抜きの支払金額に税率を乗じて源泉徴収税額を算出しても、差し支えないとされています。
消費税等の額が区分されていない | 税込金額×10.21% | |
消費税等の額が区分されている | 税込金額×10.21% 税抜金額×10.21% | どちらでも可 |
税率をかける金額は税込と税抜のどちらがいいの?
報酬・料金等を支払う側は、源泉徴収で預かった所得税をそのまま毎月納税するので、損益に影響はありません。また、受け取る側も確定申告において1年間の正しい税額を計算しますので、最終的に納める所得税額に違いが生じることはありません。
ただ、源泉徴収される税額を少なくし、報酬の手取り額を少しでも多く受け取りたい場合には、請求書等において消費税等の額を明確に記載し、税抜金額を源泉徴収の対象とする方法がよいでしょう。
税込と税抜での計算結果の違い
【具体例】デザイン料100,000円に消費税等10,000円(税率10%)を合わせ、源泉徴収税額を差し引いた金額を取引先に請求する
税込金額×源泉徴収税率
源泉徴収は消費税を含めた金額100,000+10,000=110,000円に源泉徴収税率10.21%を乗じて算出します。
源泉徴収税額・・・ 110,000×10.21%=11,231
手取り金額・・・ 100,000+10,000-11,231=98,769
税抜金額×源泉徴収税率
源泉徴収は消費税を含めない金額100,000円に源泉徴収税率10.21%を乗じて算出します。
源泉徴収税額・・・ 100,000×10.21%=10,210
手取り金額・・・ 100,000+10,000-10,210=99,790